こんにちは。Frigateを運営している、notari株式会社 社長の今城です。notariでは、インスタグラムアカウント解析ツール「Aista」を提供しております。
そこで今回は、Aistaを使用して、昨今のコスメアカウントについて考察してみました。コスメ系アカウントを運営されている方はもちろん、フォロワーを増やしたい・エンゲージメントを上げたいけれどなかなか成果が出ないとお悩みの方は、ぜひ参考にされてみてください。
コスメ系アカウントは、なかなかフォロワーがつきにくい上にエンゲージメントも上がりにくいことが現状です。その理由として、アカウントをフォローしていても、季節の変わり目などに新商品情報が発信されないかぎり目新しい情報が生まれにくいため、毎日ように化粧品の画像をみることにマンネリを感じやすいから、ということが考えられます。
アカウント運用の戦略は企業によって多種多様ですが、頻繁に変わるわけではない商品情報を毎日掲載しても、アカウントをみたユーザーの心を掴めるとは言い難いでしょう。
コスメ系アカウントは多々ありますが、その中でも異彩を放っているのが「Three」と「CHANEL」のアカウント。どちらも商品写真よりも、ブランドイメージを伝える投稿に注力しているアカウントです。運用しているアカウントでどのような投稿をすればよいのか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
https://www.instagram.com/threecosmetics/
「Three」は、2009年に誕生した日本のコスメブランドです。「NEW ATTITUDE FOR BEING NATURAL(ナチュラルはこんなにも自由になれる)」というコンセプトを掲げていて、ブランド名には「あるものとあるものの良いところを掛け合わせて、まったく新しいものを生み出すという「創造」という意味が込められています。オーガニックであること、国産原料であること、原料は天然由来85%以上であることなどから、高い人気を集めています。
2013年10月30日より運用が始まったThreeのインスタグラムのアカウントは、2018年8月17日時点でのフォロワー数は28万人以上を誇ります。
(投稿日:2013年11月7日)
(投稿日:2018年6月15日)
運用開始時から現在まで変わらず一貫して、コスメ商品に限らずブランドの根幹となっている「体に優しいこと」に注目した投稿が行われています。異なる点は、キャプションの有無。運用当初は特にキャプションやハッシュタグなど記載されていませんでしたが、現在は丁寧なキャプションが添えられています。ハッシュタグに関しては「#threecosmetics」「#threetreejournal」などのタグが2〜5個程度つけられています。
最近の投稿をもう少し見てみましょう。
(投稿日:2018年8月15日)
こちらは、コスメの情報だけではなくブランドとして共感する価値観を発信している「THREE TREE JOURNAL」で発信されている内容を、インスタグラムの投稿にしたものです。このように、ブランドの「価値観」をユーザーに語りかけて共感してもらうことは、モノに溢れた現代で他社ではなく自社の商品を選択してもらうために欠かせません。
(投稿日:2018年8月13日)
こちらは、THREE AOYAMAとTHREE HIBIYAで行われるワークショップの案内です。ワークショップの内容は、メイクのほか手編みの籐かご作りや朝ヨガなど、やはり「体に優しい」ことを連想できる内容になっています。コスメショップ=ワークショップという図式は斬新で、ブランドの価値観・世界観を直接ユーザーに伝えることを目的としていると考えられる企画です。
https://www.instagram.com/chanelofficial/?hl=ja
「CHANEL」は、1910年にパリで開業した服飾・コスメ・ジュエリー・香水などを取り扱っているブランドです。
開業者のココ・シャネルは現在でもなおその人生や名言などが多くの人に影響を与え続け、映画や書籍などでも紹介されています。
ココ・シャネルの死後は、デザイナーに就任した「カール・ラガーフェルド」がDNAを受け継ぎつつ新たにブランドを生まれ変わらせました。
コスメLINEでは「メイクに光を」をキーワードに研究が重ねられ、高級感のある商品は世界中の老若男女を魅了しています。
2014年10月14日より運用が始まったCHANELのインスタグラムのアカウントは、2018年8月17日時点でのフォロワー数は2900万人以上を誇ります。
(投稿日:2014年10月15日)
運用開始時の初投稿の動画は、エンゲージメント*234%を超える投稿でフォロワーの心をひきつけています。 (*エンゲージメント:Aistaにおけるエンゲージメントとは、一定期間の投稿に対するいいね!の数をフォロワー数で割って合計したものを指します。ここでのエンゲージメントは、2014年10月15日〜2018年8月17日までの期間におけるエンゲージメントです。)
(投稿日:2018年8月17日)
運用開始から4年が経過した現在も、もちろん販売している商品を紹介されていますが、それ以上にブランドの世界観が伝わってくる写真が投稿されています。
こちらはコスメ商品を紹介している動画です。しかし商品画像が動画内で出てくることはなく、モデルが使用した感想を短い言葉で語りながらブランドの魅力を伝えています。
CHANELでは運用当初からキャプションやハッシュタグが丁寧に記載され「#chanelholidays」「#chanelmakeup」などのタグが2〜5個程度つけられています。
最近の投稿をもう少し見てみましょう。
(投稿日:2018年7月29日)
こちらは、創設者のココ・シャネルの写真です。CHANELにとってココ・シャネルが絶対的なブランドイメージに直結するモデルですので、ハッシュタグ「#InsideChanel」を使って定期的に写真が投稿されています。商品写真ではなく彼女の写真を投稿することが、そのまま世界中のファンにブランドイメージを提供することにつながっています。
フォロワー数やエンゲージメント率が高いことが、インスタグラム運用の最終ゴールではありません。商品販売をしているのであれば、最終目標は「売上をアップすること」ですので、インスタグラムのアカウント運用はその手段の1つでしかないのです。ユーザーになにを見せたいのかや、ブランドのトンマナ、ターゲットユーザーが好むものなどによってアカウントの運用方法は変わるため、まさに千差万別です。
インスタグラムの利用時間は、2017年時点のデータですが、25歳未満のユーザーは1日あたり25分以上、25歳以上は24分以上と発表されています。
Instagram、「若者の利用時間は1日平均32分」と元祖Snapchatより長いと強調 – ITmedia NEWS
一見短いように感じますが、忙しい時間を1つのSNSを閲覧じている時間にこれほど当てられていると考えれば、決して短くはありません。
インスタグラムアカウントを運用しているのであれば、今の投稿でフォロワー数、エンゲージメント率が少ないからと一喜一憂しないことが懸命です。重要視したいのは「アカウントから何を伝えるのか」「その方法が売上につながるか?」。「Three」「CHANEL」の両アカウントでは「世界観」が販売されていると言っても過言ではありません。その上で、手に取れるモノとして、世界観を具現化した商品が販売されています。
インスタグラムアカウントからファンを獲得して売上アップを狙うのであれば、今回ご紹介した両アカウントのようにブランドが伝えたい世界観を伝える投稿に注力してみてはいかがでしょうか。
以上、今城でした。