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「現在弊社では、提案の中心にインスタグラムがある状況です。ただ、どういう使い方をすれば良いかわからないご担当者の方も多く、とりあえず芸能人のキャスティングをすれば!的な方もいらっしゃいます。インスタグラムというワードだけがひとり歩きしてしまっている状況もあるかもしれません」
そう話すのは、どんなに忙しくても1日1〜2時間はインスタグラムを使う、インスタグラムにハマってる系女子の宮本悠加さん。じつは宮本さん、サイバー・バズから子会社として2016年11月に設立された「glamfirst(グラムファースト)」の代表でもあるんです。
サイバー・バズは、ソーシャルメディアのコンサルティングやインフルエンサーのキャスティングを専門としている企業です。 そのサイバー・バズから子会社としてglamfirstが設立したきっかけは、なんと言ってもその売上の伸び! 2015年はまだ数件だったインスタグラム関連の売上が、かなり大きなウェートを占めてきているからだそう。
そこで今回はそんな宮本さんに、いまのインスタグラムの市場動向は? 実際のコアユーザーである「女子」のリアルなインスタグラムの使い方は? など、インスタグラムをマーケティング活用する上で大事な「写し方」「ハッシュタグ」「キャスティング」における3つのポイントについてお聞きしてきました。
このように多くのインスタグラマーがボタニストを取り上げていました。 しかしなぜ企業側がPRとして起用した有名人だけでなく一般人からの投稿も増え、ボタニストがインスタグラム内で大量発生したのでしょうか。
「もちろん商品の良さやパッケージの可愛さは重要なポイントです。また有名人を多数起用していたというのも大きな要因だと思います。 でもそれだけだと、これほど一般人がこぞってマネをして自身のインスタにアップしなかったと思います。
今回の大量発生の要因はそれに加え、お風呂場や洗面所を背景にボタニストが写っていた事だと私は考えます。という話をするとたいてい『???』という顔をされるのですが、インスタグラム内で『#バスルーム』『#洗面所』などといったワードは大変人気です。 なぜなら、水周りが良い=高級な家の象徴だからです」
だからこそボタニストの投稿をしつつ、自分の家の大きなお風呂場も一緒に写す。 そうすることで、言葉で伝えなくてもお風呂場のプチ自慢が出来る! そんな投稿が増えるうちに、いつしか『ボタニストがあるお風呂場はオシャレ』という雰囲気が醸成され、一般人もマネしてあげ出すようになったのではないかと宮本さんは分析してくれました。
「あからさまに言葉では自慢はしたくないんだけど、でもやっぱりちょっとだけ『知ってほしい』『見てほしい』『言いたい!』ってこと、誰にでもあると思うんですよね。そんなときに文章にしなくても画像で伝えられるインスタってすごく便利なツールだと思います」
いまではインスタグラムに投稿するために行動するユーザーも存在するんです。
女子会のお店選びの予約時には「インスタ映えするところ」という子もいるほど。 実際に写真を撮るときには、インスタグラムでキレイに見せる写真の構図などをその場で調べることもあるそうです。
宮本さんのいうように、企業の投稿においても押し付けがましく商品をリコメンドするのではなく、ちょっとしたプチ自慢ができる状況を用意するということが大事かもしれないですね。 生活シーンと合わせて訴求することがポイントです。
インスタグラム内での動きを考えると、実際に自社のアカウントに新規でアクセスするには、「知人のいいね!」「フォロー・フォロワー一覧」「写真へのタグ付け」、そして「ハッシュタグ」からのみ。 そのなかでも、ハッシュタグはかなり効果的と言われています。
それはユーザーがGoogle検索の代わりにハッシュタグ検索することが多いのも理由の1つ。 食事をするお店、部屋のインテリア、ファッションなど、いろいろなものをユーザーはインスタグラムで検索しています。 いまやハッシュタグをつけることは、サイトのSEO対策に近いかもしれませんね。
「投稿されているハッシュタグの投稿数が多ければいいという訳ではありません。推測になってしまうケースもありますが、どのワードの検索が多いかもイメージしながらハッシュタグをつけることは重要です。仮に洗顔用品であれば、ブランドワードだけではなく、洗面所、愛用品、必需品などのワードを入れてもいいと思います」
ハッシュタグを使用するなら、インスタグラム内で使われる、いわゆるインスタ用語も知っておくべきということだそう。 インスタ用語の例としては、「おうちごはん」「ふたりごはん」「勉強垢」など。 そのほかブランドに紐付いたものもあり、「上下ユニクロ部」「足元倶楽部」などもよく知られています。 こういったインスタ用語も活用していくことによって、ユーザーの目を引くことも可能になるということです。
「実際にインスタグラムで試しに検索をしてみてほしいです!本当に便利ですから!」
そう力説する宮本さんは、実際にお客様と打ち合わせするときにハッシュタグで検索した画面を見せたり、試してもらったりということもあるそうです。
インスタグラムのマーケティング活用として欠かせない、「キャスティング」についても触れておきましょう。 実際に海外でも多くの事例があり、効果的であるとされるものが増えてきています。 数多くのインフルエンサーをキャスティングしてきた宮本さんに注意点を聞いてみました。
「単純にフォロワー数が多いから影響があると思っている方も多いと思います。フォロワー数も重要ですがそれだけではなく、そのインフルエンサーをなぜユーザーがフォローをし、定期的に見ているのか?どのインフルエンサーが語ることでユーザーに商品理解が浸透したり、態度変容が起きるのか?を考えなくてはいけません」
つまり、インフルエンサーの文脈のなかで、いかに自然に商品を溶け込ませるかということも重要になってくるということ。 ユーザーは違和感に非常に敏感ですからね。 そういった意味でも、インフルエンサーとユーザーの関係もしっかり考えた上でキャスティングはしなくてはいけません。
インスタユーザーへの調査では、インスタグラムの投稿を見て、商品を購入・検索を体験しているユーザーは9割ほどというデータもあると宮本さんは話していました。 上手にインフルエンサーを活用して、マーケティング運用へつなげていきたいですね。
インスタグラム運用をしている企業だと、どうしてもフォロワー数に目がいってしまうことも多いでしょう。 そこで最後に、インスタグラムでPRを行うときに宮本さんが注目しているポイントを教えてもらいました。
どうすれば一般ユーザーがマネして投稿したくなるか?
アカウント投稿、関連投稿に対してのエンゲージメント率は高いか?
キャスティングでの投稿はユーザー行動を起こす初動として機能したか?
「アカウントのフォロワーが増える・増えないだけでなく、この項目(上記)もぜひ見てほしいです。その前に、インスタグラムをマーケティングに活用しようと思う方には、なによりも1日だけでもいいですから、インスタグラムでハッシュタグ検索をしながら生活をしてみてほしいですね!(笑)」
インスタグラムのセルフサーブ型広告が始まってから、この10月でちょうど1年。 この1年でもインスタグラム自体も変化し、一般ユーザーの生活にもより溶け込んできています。
ソーシャル・コミュニケーションはテキストから画像・動画の時代に突入してきています。 企業のマーケティング活動としても、決して外すことができなくなりつつあるインスタグラム。 みなさまも宮本さんに教えてもらったコツ、ぜひ活用してみてください!