2013年にシングル「Dear Heaven」でメジャーデビュー。以来、その持ち前の歌唱力を武器に活躍する塩ノ谷 早耶香。そんな彼女のInstagramは仕事のことはもちろん、プライベートも包み隠すことなく素の自分を紹介し、多くのファンから愛されている。果たして彼女がそこに込めた思いとは……。
Instagramを通して垣間見ることのできる彼女の実像、さらには音楽との関連性について、約3年ぶりに発表したニューアルバム「Mist-ic」とあわせて話を聞いてみた。そこには、やはりアーティスト塩ノ谷 早耶香の本当の姿が映し出されているようだ。
――まずはInstagramを始めたきっかけを教えてください。
「最初はプライベートでやっていたんですけど、すごく見やすくて、わかりやすいし、情報を発信するのに最適だなと思って始めました。写真がメインで、それがすごく面白いし、操作も簡単ですよね」
――現在は仕事のことからプライベートまで、結構包み隠さずInstagramにアップしていますが、投稿に関して自分の中で何かルールがあったりするんですか?
「特にないんですけど、バランスは見ています。トップページを開いたときに寄りの写真が多すぎないようにしたり、引きの写真が続かないようにしたり。あとは、自分だけが並ばないようにとか。そういったバランスは意識しています」
――アップする写真に関して意識していることは?
「それもバランスですね。写真1枚挙げるにしても、やっぱりいい写真を使いたいですし。だからこそ加工も写真にあわせてフィルターを探し、一度全部あてはめてみて使い、光の加減などを調節しています」
――過去にアップした写真の中でお気に入りのものとかありますか?
「ハリー・ポッターの写真かな。USJに行った時の写真は全部好きです。すごく楽しかったし、写真も自分らしさが出ていて。ここまで素の自分が出せた写真はなかったので」
https://www.instagram.com/p/BNlTKs6DBXK/
――TwitterやFacebook、他のSNSとの使い分けはどのようにしていますか?
「Twitterは私のファンでない方も見ていることが多いものなので文章を意識しています。あとは、リツイートがしやすいので、みんなに知ってもらいたい情報などはつぶやきます。よりプライベートなことや写真1枚でわかるようなものを見せたいときはInstagram。何があったのか直感的にわかりやすいと思うので。ただ、しっかりと情報を伝えたいときには文字を画像にしてアップしたりもします」
――例えば、Instagramが自分の作品に影響したりします?
「直接的ではないかもしれないけど、Instagramはみなさんからの感想がすぐにいただけるので、例えばミュージックビデオの一部を載せて反応を見たりはします。“いいね”をもらえるとパワーになりますし。感じ方が人それぞれ違うので、そういったことを見る場所としてすごく大事ですし、見ていて勉強にもなりますね」
――普段、他の人のInstagramをチェックしたりは?
「めっちゃ見てます。最近だとクッキング系のものが好きで、それをチェックしてメモったりしてます(笑)。みなさんアイデアがすごく面白くて、いろいろ参考になります。あとは、同じ事務所の方々やプライベートで付き合いのある方のInstagramはチェックしてます」
――クッキング系の投稿を見て自分でも実践したりするんですか?
「します。この前もInstagramで見つけたかぼちゃのグラタンを作りましたし、以前は餃子の皮を使った北京ダックのようなものも作りました。基本的に簡単なものが多くて、どれもわかりやすいし、動画で見れるのもうれしい。私自身、料理を作るときは目分量でやっちゃうタイプなので、過程だけわかればいいんですよ。その方が自分なりのアレンジもしやすいですし」
――塩ノ谷さんにとってInstagramの魅力は?
「何より写真がメインになっていることはすごくわかりやすくて、気軽ですよね。文章を読まなくてはいけないという概念がないし、見ていいなって思ったものだけしっかり見ればいいですし。使い方にしてもすごくシンプル。そこもいいなと思います。あとは、自分が好きなものをみなさんと共有できるのも楽しいです。共感していただけるだけでなく、もっとこうしたらいいよってアドバイスをもらえたりもするので、それはすごくうれしいですね」
――プライベートを紹介することに抵抗があったりは?
「ないですね。私のテーマに“誰かのそばに寄り添える”というのがあって、気取りたくないし、かっこつけたくもないんです」
――そういう意味では、Instagramは素直な自分が打ち出せる最適なツールですね。
「プライベートの自分、普段はこんな人なんだよって届けられますしね。写真も気取ることなく、気取るのはアーティスト用、ジャケットの写真だけで充分です(笑)。素の自分をどう知ってもらうか、それも歌以外の部分で。
例えば、こんなにお茶目なところもあるんだってわかると、より歌も近くに感じられると思うんですよ。以前はテレビのバラエティ番組とかでしか知ることができなかった本当の姿が、今はInstagramなどでより身近に感じられるようになってきたと思うし、そういう意味ではすごくいいなって思います」
――Instagramと作品、そのふたつをうまくリンクさせることも重要ですね。
「アルバムの中には音楽として伝えるものがあって、自分がこうしていきたいというメッセージや自分の思いを詩にして、自分の声として感情が乗せられる分すごくわかりやすいですよね。Instagramではそのときのリアルな気持ちを伝えつつ、アルバムは今何を思っているのか、何を目指しているのか、どうしていきたいのかをよりわかりやすく表現していきたいと思ってます」
――となると、Instagramを見ながらアルバムを聴くと塩ノ谷さんの全てがわかるってことですね。
「そうですね。全部わかっちゃうかもしれないですね(笑)」
――そんなアルバム、新作「Mist-ic」が約3年ぶりにリリースされましたが、前作「Luna」との違いは?
「『Luna』のときは10代だったこともあって、逆に大人っぽくしていたというか、かっこつけていたんですよね。当時はきっと大人っぽくなりたくて。
ただ、それはそれですごくよかったと思うし、その瞬間の自分が表現できていたと思うんですけど、今回はより自然体でいられる場所を感じられたというか、無理せず、気取らずにいられる場所を作りたいと思った最初の作品でもあって、すごく楽しく制作できましたね。
『Mist-ic』の方が子どもっぽい印象があるかもしれないですけど、自分の中ではそれが逆に大人というか……全てを受け入れられるようになったのかなって思います」
――それは余裕ができたということでもあるのかなと思います。音楽のバリエーションも増えて。
「それはあるかもしれないですね。音楽に対してより自由になれましたし、みんなで音を楽しむような感じで作れましたし」
――例えば「YOU&ME」などは、前作にはなかった感じで。
「昔の私だったらありえないですね(笑)。でも、今はそれが楽しくて。たぶん、自分の幅が見えてきたのが一番大きいのかなって思います。それだけにもっとできるとも思うし、別にやらなくてもいいとも思ったり。
それは自由で、目の前に広がっているものの中から何を取り入れるのかってことだと思うんです。以前はその音楽だけを見つめていて、よく言えばストイックだったんですけど、そこに無邪気に楽しむことを覚えたんですよね。とはいえ、昔は楽しんでいなかったというわけでもないんですけど」
――今回のタイトル「Mist-ic」が意味するものは?
「前回の『Luna』は光と影という意味で、それは私ということでもあり、ひとりの人間。みんなに光と影があって、それを表現したいと思っていたんです。
でも、今回は塩ノ谷 早耶香だからこその世界観を作りたいなって思って。自分の声はどういうものなのかデビュー前から探していて、歌にもいろいろな種類があるように声にも種類がある。心に突き刺すようなものがあれば、Mist(霧)のように切なさも楽しさもじんわりとしみ込んでいくような声もあったり。
そんな中で私はMistのような声を目指したい、自分が持っているのはそこじゃないかと思っていて、それでMist Voiceというのを目標として掲げさせていただいて。そんな私の一番大切なMistと絶対に欠かせないMusic(音楽)を掛け合わせて、このタイトルができました」
――今回はアルバムのリード曲「BELIEVING」が映画「イタズラなKiss THE MOVIE 2 ~キャンパス編~」の主題歌にもなっていますね。
「めっちゃうれしいですね! 少女マンガの実写版の主題歌は夢だったので。私、マンガが大好きなんですよ。しかも『イタズラなKiss』は超名作ですし」
――主題歌ということで特別意識したことはありました?
「歌詞の世界観という意味では、映画に近づけていきたいなって思ってました。主人公・琴子の性格を意識したんですが、ただそこだけに寄り添い過ぎると他とのバランスが崩れてしまう。琴子みたいに破天荒な子はなかなかいないですし。
なので、それを意識しつつも、女の子って恋をするとまわりが見えなくなっちゃう、そういった部分をかわいらしくポップに仕上げました。『イタズラなKiss』って喜怒哀楽がめっちゃ激しいんですけど、全てポップでかわいく描かれているので、それを音楽でも投影したいなと思って」
――それだけに楽曲もミディアムかつポップな感じで。
「音色や歌い方でそういう部分を表現しました。音色もかなりダークなところがあれば、ポップなところもあって、その差は結構激しいですね」
――マンガが大好きとのことですが、それは作詞とかに影響します?
「しますね。日常生活で喜怒哀楽ってそこまでないと思うんです。そういった部分をマンガで補足しているというか。私は基本的に少年マンガが好きなんですけど、そこで自分ができない体験をしていて、あとは自由な感覚を学んでいるというか。読んでいるだけですごく勉強になりますね。
やっぱり、自分の世界だけに収まっていたらダメだと思うんですよ。マンガや映画、人の話、それこそSNSもそうですけど、いろいろなことからたくさんの刺激を受けて、いろいろな人の意見を感じると自分の幅が広がると思いますし」
――最後に2017年の豊富を教えてください。
「ひとつの目標としては、ツアーがしたいです。そして、それを前提として上で、私はひとりひとりの人たちとの繋がりを大事にしていきたいと思っていて。前にブログでファンの方が『大きくなるのはうれしいけど、遠くなってしまうのは寂しい』と書いてくれていて、そのとき私はそう感じさせたらダメだって思ったんです。
例え大きくなって距離的には遠くなったとしても、繋がっていること、大きくなったからこそ近づけるような自分でないといけない。でないと、ライブをやる資格もないんじゃないかなって思って。私のアーティストとしての夢は“誰かのそばに寄り添える歌を歌うこと”であり、売れることでも大きな会場でライブをすることでもないんです。
ひとりでも多くの人たちに本当の意味での癒しや涙、笑顔を届けることが夢で、その延長線上が大きなライブハウスがあるかもしれないけど、私はその気持ちを忘れずに歌い続けたいなと思っています」
スタイリスト&ヘアメイク/KOBA(PUNCH)
Photo by 竹内洋平
塩ノ谷 早耶香
2ndアルバム『Mist-ic』 NOW ON SALE!
初回限定盤TYPE-A(CD+DVD)¥4,000 (税込)
初回限定盤TYPE-B(CD+DVD+Photo Book)¥3,500 (税込)
通常盤¥2,500 (税込)
【収録曲】
1. BELIEVING
2. Miracle (Solo ver)
3. YOU&ME
4. SMILEY DAYS
5. GOOD BOY
6. 奇跡
7. 流れ星
8. こんなにも愛してたんだ
9. 魔法
10. キミの側で(Mist-ic ver.)
【初回限定盤TYPE-A DVD収録内容】
2016年7月31日に渋谷wwwで行われた「塩ノ谷 早耶LIVE 2016 ~always with you~」のライブ映像を収録
【初回限定盤TYPE-B DVD収録内容】
MV集(BELIEVING/魔法/SMILEY DAYS/流れ星)を収録